有機栽培や特別栽培は環境にやさしい農業です

「環境保全型農業」は、化学肥料、化学合成農薬の使用を削減することで、持続可能な農業を将来へと繋ぐしくみです。地球温暖化防止や生物多様性の保全などにも繋がる環境にやさしい農業です。環境にやさしい農業で栽培された農産物には、化学肥料、化学合成農薬の削減量によって農産物にマークが付けられます。

参照元:https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/pdf/kan_panf.pdf

環境にやさしい農業「環境保全型農業」

この記事の目次

有機農産物とは

有機農業は、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと、遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業のことです。日本ではJAS(日本農林規格)により、国際的なCODEX(FAO〈国連食糧農業機関〉・WHO〈世界保健機関〉合同の食品規格委員会)の表示にもとづいた形で、化学合成農薬・化学肥料を3年以上使用していないことを原則にしたものです。

有機農産物は、単に3年間化学合成農薬や化学肥料を施用しない圃場で栽培されただけでなく、収穫後から流通されるまでの間にも化学物質に汚染されず、また周囲の他の環境で栽培された作物と混ざらないことが条件の一つです。言い換えれば”有機”として適切に生産され、適切に収穫され、適切に保管されたものだけが「有機栽培農産物」といえるのです。

化学合成農薬や化学肥料を認めないのは、わかりやすくいえば、自然の根源的なエネルギーである太陽の光や土中の微生物で分解しにくい物質とされているためです。化学物質は自然界のライフサイクルからは逸脱した存在といえるのです。
日本の有機農業の取組面積は2011年から2021年までの10年で約4割拡大しています。しかしながら農地全体の0.5%と少ないのが現状です。

有機農産物は各工程ごとに認証が必要です

日本での有機農産物の認証は、農林水産大臣に登録された第三者機関である「登録認証機関」で、書類審査、実地調査が行われ判定されます。認定後も1年に1回の調査が行われています。
農産物の場合、生産、流通の工程がどう管理されているか、またその管理が実際に農場や倉庫などで運用されているかを判定するものです。生産、流通の工程で汚染が行われていないこと、有機以外の農産物と混じらないことが保証される管理システムを維持しているかということが大切なのです。つまり生産行程を管理する主体とシステムがあるかどうかが有機農産物の認証にとって重要なポイントとなるのです。

有機JAS認証の商品には、有機農産物、有機加工食品、有機畜産物、有機飼料、有機藻類の5つ種別があります。
また、製造、流通の各工程で生産行程管理者、小分け業者、輸入業者、外国格付表示業者として「登録認証機関」で認証を取得する必要があります。
生産行程管理者は、農産物、畜産物、飼料、加工食品の生産を行う事業者です。小分け業者は、仕入れた食品を小分けする事業者です。輸入業者は、食品の輸入事業者です。外国格付表示業者は、有機同等性を利用して輸出される有機製品に外国・地域の有機制度で定められているロゴマーク(外国格付の表示)を貼る輸出事業者です。これらの認証された事業者のみ「有機JASマーク」を付けることができます。

有機農産物には「有機JASマーク」が付いています

有機JAS規格に従い生産され、農水省に認定された登録認定機関の検査を得て認証された農産物には「有機農産物」として「有機JASマーク」が付いています。有機JASマークは、太陽と雲と植物をイメージしたマークです。

化学合成農薬、化学肥料を使用しない有機農法により生産された農産物であっても、有機JAS認証を取得していなければ、「有機農産物」、「有機」、「オーガニック」と表示することができません。
「有機JASマーク」がついた有機農産物は、栽培のルールを定めたものであり、出来上がった農産物の品質に関する基準ではありません。農産物の味などは、栽培の方法や農地の条件等の影響を大きく受けます。

畜産物の有機認証

畜産物にも有機認証制度があります。 有機畜産物は、農業の自然循環機能の維持増進を図ることを目的として生産されています。
生産の方法は、環境への負荷をできる限り低減して生産された飼料を給与し、動物用医薬品の使用を避け、動物の生理学的及び行動学的要求に配慮しています。
有機畜産の原則は「環境保全」(有機飼料生産と家畜の有機飼料消費を通して自然環境保全)と「アニマルウェルフェア」の2つのキーワードに集約されます。

アニマルウェルフェアとは

アニマルウェルフェアとは、日本では「動物福祉」と訳されています。家畜として飼われている動物たちは経済動物であっても生き物としての「幸せ」を守るべきである、という考え方です。アニマルウェルフェアについては、家畜を快適な環境下で飼養することにより、家畜のストレスや疾病を減らすことが重要であり、結果として、生産性の向上や安全な畜産物の生産にもつながります。

具体的にどんなことを行っているかというと?

  • 清潔で新鮮な水の給与と適切な飼料による栄養管理
  • 適切な栄養状態を維持するため、家畜の毎日の丁寧な観察を行い記録する
  • 畜種の特性や月齢に応じた、適切な暑熱対策や寒冷対策を行う
  • 家畜を驚かせない取扱方法を把握する
  • 畜舎は、家畜の行動様式に配慮するとともに、十分な換気量の確保や畜種の習性に応じた十分な光量を確保し、清潔さを保てる設備や材質を使用する
  • 家畜の行動を日々観察することにより、今の施設の問題を把握し、必要に応じて対策を講じる

有機農産物は遺伝子組換え技術を利用していません

有機農業は、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと、遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業のことです。
遺伝子組み替え技術には幾つかの側面があり、一つには遺伝的に欠損などがある遺伝病あるいは病気による遺伝子異常に対して、劇的な効果を生む遺伝子技術関係があります。これと対極的に、省力化あるいは食糧増産の美名のもとに、特定の農薬に対して耐性を持たせたり、ある植物にそれ以外の遺伝子を組み込んで栄養素などを形成させるなどがあります。特に遺伝子組み替えで恐れられているのが、特定の昆虫に対して毒性を持たせたり、特定の薬剤への耐性を持たせるための技術により生まれた植物の暴走があります。実際に起こった例でも、ある除草剤に対する耐性を持たせた植物が自然界で同種の植物と交配したため、それら自然界にあったものも除草剤耐性になり、生態系バランスが崩れたり、米国では予想よりも収穫量があがらず大問題になるなど、科学者の予想したものとは違う、思いもよらない結果を出しています。最終的に米国でも、消費者が遺伝子組み替え商品か否かの判断ができるような表示をせざるを得なかったように、遺伝子組み替え技術の功罪とは、将来にわたる結果が全て予測できるわけではないというのが真実です。

■遺伝子組み換えの問題

  • 人間が長期に摂取した場合の人体への影響が検証されていない。
  • 遺伝子組み換えに対する情報公開の制度の確立が国際的にまだ不十分である。
  • 人間が直接摂取しない場合でも、家畜の飼料へ入った場合に、その肉などを摂取した場合の影響が検証できていない。例えば、害虫を殺す蛋白質を持ったトウモロコシを家畜が摂取した場合、その肉などを食べた人にアレルギーを起こす可能性が問題視されている。
  • 組み換え品種が旺盛になると在来種(古くからある品種)などと交雑し、生物の多様性が失われる。つまり、雑草に強い遺伝子組み換えダイズがはびこり、弱い在来品種が廃れていってしまうなど、植物界にも弱肉強食の世界が生まれてしまう心配がある。
  • 遺伝子組み換え品種の種を開発した種苗会社による農産物・種子の独占的支配による途上国の問題。本来、途上国にあった在来種を種苗会社が組み換え操作をし、それに特許をつけて販売して、途上国の種子を略奪しようとしている。

特別栽培農産物とは

「特別栽培農産物」は、「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」の基準に従い、その農産物が生産された地域の慣行レベル(各地域の慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況)に比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培され、確認責任者の確認を受けた農産物です。
節減対象農薬と化学肥料双方の節減が必要です。なお、節減対象農薬を使用しなかった場合、「節減対象農薬:栽培期間中不使用」との表示になります。
有機農法で栽培された農産物でも有機認証を取得していない場合、特別栽培農産物として販売されていることもあります。

GAP認定取得の動き

GAPとはGood Agricultural Practicesの頭文字を取ったものであり、直訳すると「良い農業の取り組み」となります。農林水産省では農業生産工程管理と呼んでおり、農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための取組をいいます。
GAPは、グローバルGAP、J‐GAP、アジアンGAP、県GAP、JA‐GAPなどがあり、農場や生産者団体が活用する農薬・肥料の管理など、持続可能な農業につながる農場管理の基準が定められています。GAPに取組むことにより、農業経営の改善、効率化、農作業事故の防止、農産物の品質向上などのメリットが農業者にあります。また、GAP認証を取得することにより、販売先からの信頼性向上などが期待されます。

環境保全型農業は未来の農業を守るしくみ

未来へと持続的に農業を行い、安定した収穫を行っていくためには、「農地の持続性」、「労働環境の持続性」、「環境負荷軽減の持続性」が必要と言われています。
「農地の持続性」とは、土壌の性質を改善し、化学的に合成された肥料、農薬の使用を減少することで農地の生産力の維持を行うことです。
「労働環境の持続性」とは、生産者の高齢化による減少、労働負荷の軽減を行い、新規就農者しやすい環境を作っていくことです。
「環境負荷軽減の持続性」とは、温室効果ガスが削減は、化学合成農薬や化学肥料の削減、施設栽培の燃料の見直しなどがあります。化学合成農薬や化学肥料の削減を工業的に生産するために化石燃料を使用しており、これらを削減することにより、生産にかかる温室効果ガスの排出を削減できます。また、施設栽培の温室効果ガス排出量は、冬期の燃料利用に使用する重油や電力の化石燃料等の代わりに木質バイオマスチップや太陽光発電を活用したり、栽培の工夫で冬期の暖房利用を減らすと大幅に温室効果ガスが削減できます。

農地を持続可能にする化学合成農薬や化学肥料に頼らない農法

化学肥料の土壌への影響

 植物は、種類毎にまた生育ステージ毎に必要なミネラル成分が異なるため、一つの作付けが終わると、特定のミネラルが消費されます。したがって同じ野菜を育てると、そのミネラルが枯渇し、病気が出たり、生育に障害が出たりします。そこで、同じような作付けにならないように、違った種類の野菜や土壌を改善する野草を栽培する「輪作」という方法があります。また、ミネラル自体を自然から応用した技術で閉じ込めた生物活性水を施用する方法もあります。これを窒素、リン酸、カリウムが主体の化学肥料で補おうとすると野菜も出来ないような不毛地帯になってしまいます。また化学合成したミネラル要素で補おうとすると、即効性がある代わりに、土壌の他の物質とも結びつき、土壌構造を壊していくというのは経験的にもわかっています。

化学合成農薬の健康への影響

 農薬も化学肥料も現在は見直しが進んでいますが、健康への影響が懸念されるものもあります。特に除草剤では、大半のものに内分泌撹乱物質(環境ホルモン)が不純物として入っていました。東京湾の海底で見つかる環境ホルモンの大半は、これらの除草剤に由来すると言われています。つまり、分析能力が進み、今までわからなかった身体的な影響が判明してきたわけですが、一方で農薬の開発も進んで、毒性を低めたため、環境影響が弱まり生物相が回復してきているという報告もあります。ただし、以前の長期間による農薬の残効性により、環境は元通りには回復するとはいえません。例えば、かつて使用した除草剤の主要物質が、河川にいまだ残っているため、その水系にいる魚類にも化学物質が含まれ、健康への影響を考えて、その魚類を喫食できないという事が北陸地方で起こっています。経済発展を優先して、増収を目的の中心にし、他の工業生産上の副産物を加工した化学肥料や農薬を使用してきたため、このような環境意識の時代を予測しなかったでしょう。  

健康な土壌づくり

化学肥料や農薬を使わない有機栽培の畑では、自然のものから作られたたい肥を、微生物やミミズなとの生物が分解します。生態系のバランスが取れた健康な土壌は、深いところまでやわらかく、栄養成分がゆっくりと野菜に届きます。
健康な土壌では、土壌消毒剤は一切使用しません。冬に行う「畑をおこす」作業は、有機農法では大切な作業の1つです。「畑をおこす」作業は、機械で畑の地中深い土を掘り返す作業のこと。寒い時期に掘りおこすことで、地表に出てきた雑草の種や害虫が寒さで死んでしまいます。土壌に除草剤や殺虫剤を使わない土壌づくりです。

合鴨農法

合鴨農法とは、田植え後に鴨のヒナを放し飼いする方法です。合鴨が農薬を使用しない田の中を元気に泳ぎまわり、その際に厄介モノの雑草を足で掻いて抜いてくれたり、害虫を食べてくれます。また、その糞は養分供給になります。最終的にはおかずとして肉を供給してくれます。  
いいこと尽くめのように聞こえますが、合鴨は他の鳥や野犬に狙われ、管理に手間が掛かったり、糞の量によっては水田が窒素過多になってしまうなどの問題もあります。これらを解決する合鴨ロボットも開発されています。手間がかかる分、おいしくて安全なお米ができるのです。  

BMWシステム(生物活性水)

「BMWシステム」とは、家畜の尿を何槽もの槽を通しながら自然石や腐葉土で処理し、バクテリア(B)とミネラル(M)で活性した水(W)のことを言います。近年世界でも注目される技術となりました。これは自然界で、大きな沼に枯葉や生物が多数落ちても水が浄化されるのと同じで、沼の底で鉱物の風化した泥と固有のバクテリアと水が自然の中で有機物を浄化していく作用を人工的に再現した技術です。
米沢郷牧場(山形県)では、バイオ槽を設置し、バクテリアによって浄化されてできたミネラルを含むBMW生物活性水を鶏の飲水に使用しています。また、飼料・堆肥の発酵に用いられるほか、農薬を減らす技術に置いても効果的で、稲・野菜・果物の栽培にも用いられています。そして「BM菌体」での生ゴミ処理など、米沢郷牧場の物質循環の要として、大きな役割を果たしています。
この技術は、牛の尿などを河川に放流可能なレベルの水に変えたり、その水が生物の体内水に近い構造のため、野菜や果樹などの農薬を使用しない栽培のために有効と注目されています。

IT技術による作業の効率化と農業と消費者の関係

高齢者の離農により農業の従事者の減少が続いています

農業従事者は減少傾向が続いており、2020年は136万3千人と、2015年の175万7千人と比べて22%減少しています。さらに2005年の224万1千人と比べると39%減少しています。
2020年の農業従事者数のうち、65歳以上の階層は全体の70%(94万9千人)を占める一方、49歳以下の若年層の割合は11%(14万7千人)となっています。
2020年の20~49歳層の若手農業従事者の動向を見ると、親からの経営継承や新規参入等により12万4千人から14万7千人と2万2千人増加しています。また、60~69歳層は36万7千人から39万3千人と2万6千人増加しました。60~69歳層は退職後に就農するいわゆる定年帰農による増加と考えられます。一方、人数の多い70歳以上の階層の減少率が高く、このため農業従事者全体としては大幅な減少となっています。
このような中、農業の持続的な発展のためには、若年層等の農業従事者の確保・定着と併せて、それらの農業従事者一人一人がこれまでに比べてより大きな役割を担っていくことが必要になっています。

IT技術でスマート農業

農業者数の減少、高齢化が見込まれる中で進められている取り組みに スマート農業があります。これは、ロボット技術やICTなどの先端技術を活用する農業のことです。
例えば、作業の自動化ロボット、スマホで操作する水田の水管理システムなどは、作業を自動化し人手不足の解消を可能にします。ドローン・衛星によるセンシングデータや気象データのAI解析の活用により、農作物の生育や病虫害を予測し、高度な農業経営が可能になります。

生産者と消費者をつなぐインターネット

情報化社会に一番乗り遅れるであろうと思われた一次産品の中で特に就業上の特性がつかみにくい農業分野でも、インターネットの普及により情報化が進んでいます。 消費者一人一人との関係を何年も大事にして、親戚付き合いのようにしてきた産直農家にとっては、One to One の関係は当たり前のことでした。さらにインターネットを利用して、消費者と生産者がお互いの顔が見える位置でのコミュニケーションを高めて、より多くの方のニーズへ対応しています。 生産者としても、手間をかけて作業をする際に、お客様の喜ぶ顔を想像しながら作業をすれば、もっと良いものを、もっと美味しいものを育てようと更に精進できるものです。

「生産者と消費者のネットワーク」 イー有機生活で目指す2WAY

イー・有機生活では、インターネットなどを通して農業の実態を「有機生活」というコンセプト名でお伝えしています。 ネットワーク上で、生産者の農産物に対する思いを伝え、それに対して、お客様の様々な要望をお聞きし、商品設計へ反映させるようなシステムづくりが、有機生活のテーマです。 私たちが考える「有機生活」とは、生産者と消費者という立場を超えて心のつながりを築いていくことです。

特色ある農産物づくり

特色ある味や見た目、栽培方法をピーアールして販売する農産物が多くなりました。 有機農産物、特別栽培農産物も栽培方法に特色を持たした農産物です。
一般的に化学合成農薬や化学肥料を使用しないと収穫量はかなり低下します。おまけに天候によっては病害や虫害が起こる可能性も高く、そうなると生産者は壊滅的なダメージを受けます。化学合成農薬・化学肥料をなるだけ使用しない農法は、手間ひまかけて育て、雑草や虫も手で取り除いたりと非常に細やかな管理を必要とします。これらを乗り越えるためどうしてもコストが高くなってします。e有機生活では、生産者の苦労や収穫の喜びをインターネットを通じて情報を発信し続けることで理解していただけるよう努力していきます。 ただし、有機農産物もいいことばかりではありません。クレームで一番多いのが虫の混入です。有機農法は、自然の中で生物の多様性を環境循環に取り戻すというのが目的ですので、田んぼに行けば驚くほどイナゴや赤とんぼが戻ってきていたりします。有機農法では、収穫後の薬剤燻蒸などを行わないので野菜や米など、品目ごとに違う虫がつきます。出荷時に十分確認しておりますが、探しにくい葉の内側など完全に除去することは難しいのが現状です。自然な環境で栽培された農産物ですので多少の虫の混入はご容赦いただけますようお願いいたします。 また「国産」も商品を選ぶ選択肢の1つとして重要視されています。この理由の1つとしてポストハーベストがあります。輸入農産物は、収穫後の農作物に害虫やカビが発生したり、輸出用などで貯蔵中に発芽するのを防ぐために、収穫後に使用される薬剤のことです。輸入レモンの防カビ剤もポストハーベストです。 国によって、国内輸入基準では使用禁止にしていても、輸出向けでは許可しているような国もあります。

希少な有機栽培のりんご

家庭菜園で有機農法にチャレンジして農業者に

家庭菜園や市民農園で有機農法に取り組まれている方は数多くいらっしゃいます。また、マンションにお住いの方でも、ベランダなどの軒先でミニトマトなどの有機b農法に挑戦されている方もいらっしゃると思います。 都市部では、高層ビルなどで虫が登れる高さ以上のところで栽培するなど、通常の農業では有り得ない好条件で有機農法ができるケースもあります。 いわゆる庭先栽培で作るとしたら、ニラなど複数年収穫するもので、多く収穫できる野菜が向いていると思います。夏場の途中で辛くなるかもしれませんが、やはり数多く収穫できるししとうなども適していると思います。どちらもあぶら虫やスリップスなどの害虫がつくことはありますが、あぶら虫では牛乳の噴霧、スリップスでは木酢(もくさく)と唐辛子を混ぜたものを噴霧するなどの工夫をすると、ご家庭でも安全でおいしい味を身近で楽しむことができます。 ぜひ、皆さんもチャレンジして、農業者の仲間入りをしてみてください。

環境負荷軽減への取り組み

環境保全型農業とは、農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業と定義されています。
たとえば、私たちの食事の食べ残しや家畜ふん尿などの資源(有機物)からたい肥をつくり、これを使って作物の栽培に必要な土づくりをします。同時に、化学肥料や化学合成農薬を減らしたり、使わない技術を用いることにより、将来にわたって環境と調和のとれた農業生産活動を続けることができます。 化学肥料の生産、使用において発生する温室効果ガスを削減する対策の1つとして化学肥料の削減があります。
化学肥料を工業的に生産するために化石燃料を使用しており、これらを削減することにより、生産にかかる温室効果ガスの排出を削減できます。因みに化学肥料の製造において、原料はほぼ全量輸入されています。肥料の三要素は、窒素、リン酸、カリウムです。これらの原料は、リン酸アンモニウム(窒素とリン酸を含む)と塩化カリウムは100%輸入、尿素(窒素肥料の原料)は96%輸入となっています。
化学肥料は必要以上与えると、地力の低下を引き起こしたり、一酸化二窒素等の温室効果ガス排出や河川や地下水の汚染など環境への負荷を与えます。
また、施設栽培の温室効果ガス排出量は、冬期の燃料利用に使用する重油や電力の化石燃料等の代わりに木質バイオマスチップや太陽光発電を活用したり、栽培の工夫で冬期の暖房利用を減らすと大幅に温室効果ガスが削減できます。

さんぶ野菜ネットワーク(千葉県)では、有機栽培で使うたい肥を毎年一から自分で作っている生産者もいます。たい肥は栄養成分という働きもありますが、土壌を改良し微生物が繁殖するための環境を整える大切な役目があります。
たい肥は、土の自然循環機能をサポートし、土壌を改良していきます。微生物を介した自然循環は、自然の本来の生命の姿です。化学肥料では決して生まれません。

資源循環型農業について

産業廃棄物の中でも食物残渣については、法的に他県への移動が認められるようになり、小売店の生ゴミなどを地方で堆肥化するなどの運動が始まっています。これら大幅な廃棄物循環は都市ゴミの減量化への一歩と評価されています。 ただし、堆肥化の中で微生物学的に、また、化学的にも適正な処理を行えるかどうかが疑問であるとともに、都市ゴミが地方の一部に集中し、そこから発生する過剰な窒素による水質汚染の可能性を危ぶむ声もあります。例えば、分別されない食物残渣中に病原性大腸菌などが含まれ、これを地方の牛糞堆肥と混ぜて発酵させた場合、これを利用した野菜を生で食べてしまう危険性もあります。一方、伝統的な日本の食品の残渣で、豆腐の粕などは、焼却するのに大量な化石燃料が必要となってしまいますが、かわりにこれを適切に発酵させ農業生産へ利用すれば、原料本来の安全性の確保がなされている上、組成が明確で水分を予測可能なため便利な資源にもなりえます。ということで今後の社会的資源循環には、工学的な手法と計画によるアプローチとともに、都市と生産地双方向のコミュニケーションが可能な、地域農業生産に対するシステム的なプログラムが重要になるでしょう。

健康な土壌でゆっくり育てた健康な野菜を食べよう!

ミネラルと体のイー関係

健康な野菜と言いますが、それは健康な土壌に育つからです。健康な土壌とは、土を形成するミネラルとそれをつなぐ物質を作る微生物と水のバランスですから、必然的にいい野菜は、必要なミネラルを吸収して、それらが消費する人間へと渡されていくわけです。自然界に二番目に多いアルミニウムの取りすぎが、現在アルツハイマーの原因と言われていますが、これもアルミ容器などから水を通じて起きるように、野菜でもミネラルバランスが崩れれば健全な生育が出来ません。 土壌からの吸収以外でも、ある種の植物ではその生体内でカルシウムの蓄積を行えるため、カルシウムが少ない土壌で育てても、カルシウム含有量が豊富であったりと素晴らしい部分もあります。今後は植物から摂取するミネラルの重要性が課題になるでしょう。もちろん通常の栽培よりも、有機栽培などでしっかり育った野菜はミネラルが多い、またはミネラルの活性が高いのです。

料理をするときに、有機栽培ものとそうでないものでは、調理方法が変わるの?

 野菜は特に灰汁(あく)の問題があります。灰汁の中身には、硝酸態窒素という物質があり、これは化学肥料などで窒素過剰になっている野菜に多く含まれ、大量だと発ガン性のあるものなので摂取をできる限り抑えたいものです。    有機栽培の野菜でも、この点では危険と訴えた記事がありました。しかし、有機栽培できちんと施肥管理して、これをクリアできるものだけを米国でも有機栽培といっています。間違えないで欲しいのは、堆肥の熟度などの管理があってこそ有機栽培が実現できるのです。ゆっくり効いて来る有機堆肥の中で、加減を間違えたら他の障害がでるわけです。

本当においしい「野菜」の見分け方

 おいしい野菜の見分け方は、一品一品異なるので、今回は一つの見方だけを紹介します。   「葉もの野菜」は、緑色が濃く黒光りするようなものは窒素量が多く、いわゆる灰汁(アク)が多いのであまり体に良いものではありません。さっぱりした黄緑がかった緑のものがオススメです。 「なり物野菜」は、なすなどヘタがついているものは、ヘタがしっかりしているものを、ヘタがない胡瓜などは断面の色あいを見てください。断面がさほど大きくない(調整をされていない)茶褐色に染まっていないものが新鮮です。 「根物野菜」は、土がついていないものは、切り口を中心に確認して、土付きのものは、土の乾き具合とさわって曲げた時の弾力で見わけてください。鮮度が衰えてしまうと、くにゃくにゃと張りのない感じになってしまいます。 また、「葉もの野菜」などは切り花のように水につければ、シャキと蘇生しますから、小売店などでの見た目のシャキシャキ感では本当の鮮度は判断できませんのでご注意を。

野菜によって違う、上手な保存方法

 野菜は、通常低温保管と言われます。しかし、熱帯、亜熱帯原産の野菜で低温を嫌うものに、(1)さつま芋(2)生姜(3)里芋などがあります。これらは室温でしかも低温になりすぎないように注意をしないとすぐに傷んでしまいます。長時間の低温保存の後の温度上昇に弱いものには、(1)モロヘイヤ(2)大葉などがあります。これらは冷やした後はすぐ利用することが大事です。 レタスはぬれた新聞紙に包んで冷蔵庫ヘ。カットした部分をラップで覆い、空気に触れないようにすると長持ちします。   その他では、玉ねぎやニンニクは乾燥させておいた方が日持ちします。ネットなどにつるして風通しのよい、湿気の少ない所においておくとよいでしょう。ねぎ類は土に植えておくと鮮度を保つことができます。またアスパラガスなどまっすぐ上に伸びていく野菜を寝かせると鮮度はあっと言うまに落ちます。白菜も新聞紙に包んで立てて冷暗所に置きましょう。低温での長期保管に向くのは、ご存知のトマトやブロッコリーなどがあげられます。 一般的に土付き野菜を長持ちさせたいときは、一度土を洗い落としてから冷蔵庫に保管すると土壌の微生物が流れ落とされるので、急な鮮度低下は避けられます。

同じお米(銘柄)でも、産地によって味が変わるのは何故?

知られているようで知られていないようですが、同じ日本でもおコメは東日本の軟質米と西日本の硬質米とに分かれるのが、大きな違いです。    さらに、早場米地域では夜間の温度が下がらないので、食味に影響を与える”でんぷん質”ののりが悪く、味が異なってきます。また九州など、土壌に窒素が多い地域では、こしひかりなどの重粒種の場合、稲が倒れてしまうので作りにくくなるようです。    また、同じ地域でも、土壌の違いとともに、利用される水の違いも食味に影響を与えています。従って、田んぼにも等級が7種類決まっていて、初めから米の良し悪しを決定しているのです。これらの要素の絡みあいで、同じ銘柄でも米の味が変わるのです。

玄米って何がいいの?

 玄米とは、簡単に言うと、白米にする過程で糠や胚芽を除く前のものを意味しています。面白いことに、米の横に白を書くと「粕(かす)」ですが、米の横に健康の康を書けば「糠(ぬか)」になると例える人がいます。玄米をうまく利用すると、ビタミンBや、食物繊維などが摂取できます。 ここで注意してほしいのは、食用で販売している玄米は、通常の販売の玄米を一度糠の部分を傷つけて、吸水性を高めるような処理をしています。この過程を経ないとうまく炊き上がりませんので、体内での栄養吸収に災いします。

お米の精米方法で七分搗(づ)きって何?

七分とは、米の搗精度合(精米の度合)を指し、胚芽も糠(ぬか)もほどよく残し、そのまま炊いても問題ない程度にしたものが七分搗き米です。糠にも胚芽にも農薬の残留の心配が普通はありますが、有機生活で扱っている”有機生活まほろば”などのお米は毎年定期検査を受けてパスしており安心です。

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